【建設業許可の要件③】「財産的基礎または金銭的信用」について解説
建設業許可を受けるには、「財産的基礎または金銭的信用」を有することが要件とされています。
これは、建設工事を施工するためには、資材の購入や労働者の確保、機械器具等の購入等、一定の準備資金が必要になるからです。
「財産的基礎または金銭的信用」の基準は、一般建設業と特定建設業で異なり、多くの下請業者を使用する特定建設業の方が厳しい要件となっています。
この記事では、建設業許可を受ける場合に必要な「財産的基礎または金銭的信用」を、一般建設業と特定建設業に分けて解説していきます。
一般建設業の場合
一般建設業の場合は、次のいずれかに該当することが必要です。
- 自己資本の額が500万円以上あること
- 500万円以上の資金を調達する能力を有すること
- 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績があること
「自己資本」とは、法人の場合は、貸借対照表における「純資産の部」の「純資産合計」の額のことをいい、個人の場合は、期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいいます。
「500万円以上の資金を調達する能力」は、金融機関発行の預金残高証明書または融資証明書により判断されます。
「直前5年間許可を受けて継続して営業した実績」とは、建設業許可の有効期間は5年であるため、更新の場合は原則としてこの要件に該当することになります。
ただし、新規に許可を受けてから初めての更新では、申請日時点で許可年月日から起算して5年に満たず、この要件に当たらないこととしている行政庁もあるためご注意ください。
特定建設業の場合
特定建設業の場合は、次のすべてに該当することが必要です。
- 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2,000万円以上あること
- 自己資本の額が4,000万円以上あること
「欠損の額」とは、法人の場合は以下の計算式で求めることができます。
繰越利益剰余金の負の額-(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く))
この「欠損の額」を「資本金」で割った「欠損比率」が20%以下であることが必要です。
なお、繰越利益剰余金がプラスの場合は、要件を満たしているので、この計算式を使う必要はありません。
個人の場合の「欠損の額」は、以下の計算式で求められます。
事業主損失-(事業主借勘定-事業主貸勘定 +利益留保性の引当金+準備金)
これを「期首資本金」で割ったものが「欠損比率」となります。
「流動比率」とは、貸借対照表の「流動資産合計」を「流動負債合計」で割った割合です。
「資本金」とは、法人の場合は貸借対照表の「資本金」、個人の場合は「期首資本金」をいいます。
「自己資本」の求め方は、一般建設業の場合と同じです。
この基準を満たしているかどうかの判断は、原則として申請時の直前の決算期における財務諸表によって行われます。
なお、新規設立の企業の場合は、創業時の財務諸表によって判断されます。