経営事項審査における経営状況分析(Y)の8指標について解説
経営事項審査は、「経営規模等評価」と「経営状況分析」に分かれています。
このうちの経営状況分析とは、建設業者を会計的な立場から審査するものです。
この記事では、経営状況分析の審査項目である8つの指標について解説していきます。
目次
経営状況分析の8指標
経営状況分析では、次の8つの指標について審査が行われます。
- 純支払利息比率(X1)
- 負債回転期間(X2)
- 総資本売上総利益率(X3)
- 売上高経常利益率(X4)
- 自己資本対固定資産比率(X5)
- 自己資本比率(X6)
- 営業キャッシュフロー(X7)
- 利益剰余金(X8)
それぞれの指標の意味や算出方法について見ていきましょう。
純支払利息比率(X1)
算出式
(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100
上限及び下限
上限値:-0.3%
下限値:5.1%
指標の意味
純支払利息の売上高に対する割合を示す指標です。
有利子負債の期中の平均残高、借入利率の違いを反映した数値であり、低いほど良い評価となります。
負債回転期間(X2)
算出式
負債合計÷売上高÷12
上限及び下限
上限値:0.9
下限値:18.0
指標の意味
期末における負債総額が1か月あたりの売上に対してどれだけあるかを示す指標です。
数値が低いほど負債の支払い能力があると考えられるので、良い評価となります。
総資本売上総利益率(X3)
算出式
売上総利益÷総資本(2期平均)×100
上限及び下限
上限値:63.6%
下限値:6.5%
指標の意味
総資本に対する売上総利益の割合を示す指標です。
数値が高いほど資本を効率よく運用していると考えられるので、良い評価となります。
売上高経常利益率(X4)
算出式
経常利益÷売上高×100
上限及び下限
上限値:5.1%
下限値:-8.5%
指標の意味
売上高に対する企業の経常的な活動から得た利益の比率を示す指標です。
数値が高いほど効率的に利益をあげていると考えられるので、良い評価となります。
自己資本対固定資産比率(X5)
算出式
自己資本÷固定資産×100
上限及び下限
上限値:350.0%
下限値:-76.5%
指標の意味
固定資産と自己資本の対応関係を示す指標です。
数値が高いほど固定資産が自己資本によって調達されていると考えられるので、良い評価となります。
い。
自己資本比率(X6)
算出式
自己資本÷総資本×100
上限及び下限
上限値:68.5%
下限値:-68.6%
指標の意味
自己資本が総資本に占める割合を示す指標です。
数値が高いほど負債に頼らず自己資本で運営していると考えられるので、良い評価となります。
営業キャッシュフロー(X7)
算出式
営業キャッシュフロー(2期平均)÷1億円
上限及び下限
上限値:15.0
下限値:-10.0
指標の意味
営業活動により獲得したキャッシュフローの大きさを1億円単位で示した指標です。
数値が高いほど営業活動で得られた資金が増加したと考えられるので、良い評価となります。
利益剰余金(X8)
算出式
利益剰余金÷1億円
上限及び下限
上限値:100.0
下限値:-3.0
指標の意味
企業がこれまでに獲得した利益から配当等で社外流出した金額を差し引いた利益剰余金を1億円単位で示した指標です。
数値が高いほど内部留保があると考えられるので、良い評価となります。
経営状況分析(Y点)の計算方法
経営状況分析の結果であるY点を算出するためには、まず「経営状況点数(A)」を計算する必要があります。
経営状況点数(A)は、次の算式によって求められます。
経営状況点数(A)= -0.4650 × (X1) -0.0508 × (X2) + 0.0264 × (X3) + 0.0277 × (X4) + 0.0011 × (X5) + 0.0089 × (X6) + 0.0818 × (X7) + 0.0172 × (X8) + 0.1906
経営状況点数(A)を算出したら、次の算式によって「経営状況評点(Y)」を計算します。
経営状況評点(Y)= 167.3 × 経営状況点数(A)+ 583
Y点の最高点は1,595点、最低点は0点となります。