主任技術者・監理技術者の専任が必要な工事について解説

建設業法では、「主任技術者・監理技術者は、公共性のある施設若しくは工作物または多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事については、より適正な施工の確保が求められるため、工事現場ごとに、専任の者でなければならない」とされています。

専任といっても、契約工期のすべての期間で設置が必要なわけではありません。

この記事では、主任技術者・監理技術者の専任が必要な工事と、専任の期間について解説していきます。

主任技術者・監理技術者の専任が必要な工事とは

主任技術者・監理技術者の専任が必要な「公共性のある施設若しくは工作物または多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事」とは、次のいずれかに該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上のものをいいます。

  • 国または地方公共団体が注文者である施設または工作物に関する建設工事
  • 鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道または下水道に関する建設工事
  • 電気事業用施設またはガス事業用施設に関する建設工事
  • 石油パイプライン事業法に規定する事業用施設
  • 電気通信事業法に規定する電気通信事業者が電気通信事業の用に供する施設
  • 放送法に規定する基幹放送事業者または基幹放送局提供事業者が放送の用に供する施設(鉄骨造または鉄筋コンクリート造の塔その他これに類する施設に限ります)
  • 学校
  • 図書館、美術館、博物館または展示場
  • 社会福祉法に規定する社会福祉事業の用に供する施設
  • 病院または診療所
  • 火葬場、と畜場または廃棄物処理施設
  • 熱供給事業法に規定する熱供給施設
  • 集会場または公会堂
  • 市場または百貨店
  • 事務所
  • ホテルまたは旅館
  • 共同住宅、寄宿舎または下宿
  • 公衆浴場
  • 興行場またはダンスホール
  • 神社、寺院または教会
  • 工場、ドックまたは倉庫
  • 展望塔

これには個人住宅を除くほとんどの工事が該当します。

つまり、個人住宅以外で4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上の建設工事を請け負う場合には、専任の主任技術者・監理技術者を設置しなければなりません。

主任技術者・監理技術者の専任期間

元請工事については、主任技術者・監理技術者を工事現場に専任で設置すべき期間は契約工期が基本となりますが、次に掲げる期間については工事現場への専任は必要ありません。

  • 請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入または仮設工事等が開始されるまでの間)
  • 工事用地等の確保が未了、自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により、工事を全面的に一時中止している期間
  • 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター、発電機・配電盤等の電機品等の工場製作を含む工事全般について、工場製作のみが行われている期間
  • 工事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合を除く)、事務手続、後片付け等のみが残っている期間

ただし、この期間が設計図書もしくは打合せ記録等の書面により明確となっていることが必要です。

下請工事については、施工が断続的に行われることが多いため、専任の必要な期間は、工事が実際に施工されている期間となります。