【工事途中でもできる?】主任技術者・監理技術者の交代が可能なケースを解説

建設業許可を受けた場合、建設工事の現場には、主任技術者・監理技術者の配置が必要となります。

この主任技術者・監理技術者を工期の途中で交代することは、建設工事の適正な施工の確保を阻害する恐れがあり、原則として認められません。

ただし、一定の場合には途中交代をすることができます。

この記事では、主任技術者・監理技術者の途中交代が可能となるケースと、途中交代する場合の注意点を解説していきます。

主任技術者・監理技術者の途中交代が可能なケース

主任技術者・監理技術者の途中交代は、次のような場合に可能となります。

  • 死亡、傷病、出産、育児、介護又は退職等、真にやむを得ない場合
  • 受注者の責によらない理由により工事中止又は工事内容の大きな変更が発生し、工期が延長された場合
  • 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター、発電機・配電盤等の電機品等の工場製作を含む工事であって、工場から現地へ工事の現場が移行する場合
  • 一つの契約の工期が、複数年にまたがる場合

また、働き方改革等の観点から、工事請負契約において、主任技術者・監理技術者の途中交代を行うことができる条件について書面その他の方法により発注者と合意がなされている場合にも、途中交代が認められます。

ただし、公共工事においては、入札の公平性の観点から、原則として元請の主任技術者・監理技術者の交代が認められる基本的な条件は入札前に明示された範囲とし、同等以上の技術力を有する技術者との交代であることを条件とすべきとされています。

主任技術者・監理技術者の途中交代における注意点

主任技術者・監理技術者を途中交代する場合には、工事の継続性、品質確保等に支障がないと認められる必要があり、次のような措置をとらなければなりません。

  • 交代の時期は工程上一定の区切りと認められる時点とすること
  • 交代前後における監理技術者等の技術力を同等以上に確保すること
  • 工事の規模、難易度等に応じ一定期間重複して工事現場に設置すること

途中交代にあたっては、発注者からの求めに応じて、元請業者が工事現場に設置する主任技術者・監理技術者及びその他の技術者の職務分担、本支店等の支援体制等に関する情報を発注者に説明することが重要です。

主任技術者から監理技術者への変更が必要な場合

工事現場に主任技術者と監理技術者のどちらを配置するべきかは、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額によって異なります。

下請代金の合計が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)未満の場合は主任技術者、4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の場合は監理技術者を置く必要があります。

当初の下請代金が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)未満であったため主任技術者を設置した後、大幅な工事内容の変更等により、工事の途中で下請代金が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となるような場合も考えられます。

この場合、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、主任技術者に代えて、所定の資格を有する監理技術者を設置しなければなりません。

ただし、工事施工当初においてこのような変更があらかじめ予想される場合には、当初から監理技術者になり得る資格を持つ技術者を設置する必要があります。