【経営事項審査とは?】審査項目と申請方法について解説

公共工事の発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者について「客観的事項」と「発注者別評価」の審査を行います。

このうちの「客観的事項」にあたる審査が「経営事項審査」です。

建設業者が公共工事を発注者から直接請け負うためには、経営事項審査を受けなければなりません。

この記事では、経営事項審査の審査項目と申請方法について解説していきます。

経営事項審査の審査項目

経営事項審査では、次の項目について、審査が行われます。

  1. 経営規模(X1、X2)
  2. 技術力(Z)
  3. その他の審査項目(社会性等)(W)
  4. 経営状況(Y)
項目区分審査項目
経営規模(X1、X2)・完成工事高(X1)
・自己資本額(X2)
・利払前税引前償却前利益の額(X2)
技術力(Z)・技術職員数
・元請完成工事高
その他の審査項目(社会性等)(W)・建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
・建設業の営業継続の状況
・防災活動への貢献の状況
・法令遵守の状況
・建設業の経理の状況
・研究開発の状況
・建設機械の保有状況
・国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況
経営状況(Y)・純支払利息比率
・負債回転期間
・総資本売上総利益率
・売上高経常利益率
・自己資本対固定資産比率
・自己資本比率
・営業キャッシュフロー(絶対値)
・利益剰余金(絶対値)

各項目の評点をもとに、次の算式により総合評定値(P)が算出されます。

総合評定値(P)=0.25(X1 )+0.15(X2 )+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)

経営事項審査を受け、総合評定値(P)が算出されることで、建設業者の客観的事項が数値化されます。

経営事項審査の申請方法

経営事項審査は、「経営規模等評価」(X・Z・W)と「経営状況分析」(Y)に分かれており、それぞれ受審する必要があります。

まず、国土交通大臣の登録を受けた「登録経営状況分析機関」に対して、経営状況分析の申請を行います。

現在登録を受けている登録経営状況分析機関は、次のとおりです。

  • (一財)建設業情報管理センター
  • (株)マネージメント・データ・リサーチ
  • ワイズ公共データシステム(株)
  • (株)九州経営情報分析センター
  • (株)北海道経営情報センター
  • (株)ネットコア
  • (株)経営状況分析センター
  • 経営状況分析センター西日本(株)
  • (株)NKB
  • (株)建設業経営情報分析センター

登録機関によって申請方法や手数料などに違いがあり、建設業者は自由に申請先を選択することができます。

経営状況分析の結果が出たら、許可行政庁である国土交通大臣または都道府県知事に対して、経営規模等評価の申請を行います。

この経営規模等評価の申請には、登録経営状況分析機関から交付を受けた「経営状況分析結果通知書」を添付しなければなりません。

行政庁による経営規模等評価が終わると、総合評定値(P)が算出され、申請者に対して結果通知書が交付されます。

経営事項審査の有効期間

経営事項審査の有効期間は、結果通知書を受領した後、その経営事項審査の審査基準日から1年7か月です。

審査基準日とは、直前の決算日のことを指します。

例えば3月決算の企業の場合、令和5年3月31日決算に基づく経営事項審査の有効期間は令和6年10月31日までとなり、令和6年3月31日決算に基づく経営事項審査の結果通知書の交付を令和6年10月31日までに受けなければ、有効期間が切れてしまいます。

公共工事を元請として毎年受注するためには、経営事項審査の結果通知書が有効な状態を維持する必要があるため、期限切れには十分注意しましょう。