【実務経験を短縮】専任技術者の指定学科と令和5年7月1日改正の要件緩和について解説

建設業許可を受けた営業所に置かれる専任技術者は、国家資格がなく、指定学科を卒業していない場合には、10年間の実務経験が必要とされています。

ただし、指定学科を卒業した場合は、実務経験を3年又は5年に短縮することができます。

また、「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」により、令和5年7月1日から専任技術者の要件が緩和されました。

この記事では、指定学科の一覧と要件緩和の内容について解説していきます。

指定学科とは

許可を受けようとする業種によって指定学科は異なり、次のように定められています。

許可を受けようとする業種指定学科
土木工事業
舗装工事業
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下同じ。)都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科
建築工事業
大工工事業
ガラス工事業
内装仕上工事業
建築学又は都市工学に関する学科
左官工事業
とび・土工工事業
石工事業
屋根工事業
タイル・れんが・ブロック工事業
塗装工事業
解体工事業
土木工学又は建築学に関する学科
電気工事業
電気通信工事業
電気工学又は電気通信工学に関する学科
管工事業
水道施設工事業
土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
鋼構造物工事業
鉄筋工事業
土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
しゅんせつ工事業土木工学又は機械工学に関する学科
板金工事業建築学又は機械工学に関する学科
防水工事業土木工学又は建築学に関する学科
機械器具設置工事業
消防施設工事業
建築学、機械工学又は電気工学に関す学科
熱絶縁工事業土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
造園工事業土木工学、建築学、都市工学又は林学に関する学科
さく井工事業土木工学、鉱山学、機械工学又は衛生工学に関する学科
建具工事業建築学又は機械工学に関する学科

高校の指定学科を卒業した場合は5年、大学の指定学科を卒業した場合は3年に、実務経験を短縮することができます。

令和5年7月1日改正の要件緩和

令和5年7月1日から一般建設業の専任技術者の要件が緩和され、施工管理技士の一次検定合格者は指定学科卒業者と同等とみなされることとなりました。

1級の一次検定合格者は大学の指定学科卒業、2級の一次検定合格者は高校の指定学科卒業と同様の取り扱いとなります。

技術検定種目と対応する指定学科は、次のとおりです。

技術検定種目同等とみなす指定学科
土木施工管理、造園施工管理土木工学
建築施工管理建築学
電気工事施工管理電気工学
管工事施工管理機械工学

なお、この改正は指定建設業(土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園)と電気通信工事業については対象外となります。

令和5年7月1日以降の要件まとめ

令和5年7月1日以降の専任技術者に必要な実務経験期間をまとめると、次のようになります。

学歴等実務経験
大学、短大等(指定学科)卒業後3年
高等学校(指定学科)卒業後5年
1級1次検定合格(対応種目)合格後3年
2級1次検定合格(対応種目)合格後5年
上記以外10年

改正前は、国家資格がなく、指定学科を卒業していない場合には10年の実務経験が必要でしたが、改正により、一次検定の合格者は3年または5年に短縮が可能となりました。