【建設工事】追加工事・工期変更があった場合の注意点を解説

建設工事の請負契約は、原則として書面により締結しなければなりません。

これは工事の追加や工期の変更があった場合も同様です。

この記事では追加・変更契約を締結する際の注意点を解説していきます。

追加工事等に伴う追加・変更契約

当初の契約内容に追加・変更があった場合

当初の契約を書面によって締結していたとしても、追加・変更の契約が口頭で行われてしまうと、契約の明確性や正確性が損なわれてしまいます。

これは、建設工事に関する紛争を防止する観点からも望ましくありません。

そのため、災害時などのやむを得ない場合を除いて、追加工事等の発生により当初締結していた請負契約の内容を変更する際には、追加工事等に着手する前に変更された内容を書面に記載し、署名または記名押印をして、相互に交付する必要があります。

追加工事等の内容を確定できない場合

工事の状況によっては、着手前の時点では追加工事等の全体数量などの内容が確定できない場合もあるかと思います。

そのような場合、工事の発注者は次の事項を記載した書面を受注者と取り交わす必要があります。

  • 追加工事等として施工を依頼する工事の具体的な作業内容
  • 追加工事等が契約変更等の対象となることおよび契約変更等を行う時期
  • 追加工事等に係る契約単価の額

追加・変更の契約については内容が確定した時点で締結します。

追加工事等の契約で建設業法違反になるケース

元請業者が一方的に追加・変更契約を結ばないことは、建設業法第19条2項に違反します。

例えば、下請業者が追加・変更契約の申出をしているにも関わらず、元請業者が発注者との間で追加・変更契約を締結していないことを理由として、これに応じない行為などが該当します。

また、追加工事等に伴って発生する費用については、当事者間で十分に協議をして決定しなければなりません。

例えば、追加工事等の費用を受注者に負担させたことにより、請負代金が建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額となる場合には、建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」に違反するおそれがあります。

工期変更に伴う変更契約

追加工事と同様、工期が変更になった場合にも、書面による契約が必要です。

請負契約の当事者が、変更後の工事に着手する前に変更の内容を書面に記載し、署名または記名押印をして、相互に交付しなければなりません。

変更後の工期が確定できない場合は、発注者が次の事項を記載した書面を受注者と取り交わす必要があります。

  • 工期の変更が契約変更の対象になること
  • 契約変更をする時期

変更の契約については工期が確定した時点で締結します。

増加した費用の負担についても、当事者間で十分に協議して決定しなければなりません。

例えば、工期の変更により工事費用が増加したにも関わらず、工事の発注者が受注者からの協議に応じなかった場合は、建設業法違反となります。