専任の主任技術者・監理技術者が複数現場を兼任するための要件を解説

公共性のある施設若しくは工作物または多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、請負代金の額が4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上の場合には、原則として専任の主任技術者・監理技術者を設置しなければなりません。

しかし、専任が求められる建設工事であっても、一定の要件を満たすことで、複数の現場を兼任することができます。

この記事では、主任技術者・監理技術者それぞれが兼任するための要件を解説していきます。

主任技術者が兼任するための要件

主任技術者の専任が必要な建設工事については、原則として複数の現場を兼任することはできません。

ただし、密接な関係のある建設工事を同一の場所または近接した場所において施工する場合は、これらの建設工事を兼任することができます。

「密接な関係のある建設工事」とは、工事の対象となる工作物に一体性若しくは連続性が認められる工事または施工にあたり相互に調整を要する工事をいいます。

「近接した場所」とは、工事現場の相互の間隔が10km程度の場所をいいます。

例えば、下水道工事と区間の重なる道路工事を同一あるいは別々の主体が発注する場合などが該当します。

この場合において、主任技術者が兼任することができる工事の数は、原則2件程度とされています。

監理技術者が兼任するための要件

監理技術者の専任が必要な建設工事については、「監理技術者補佐」を専任で置くことにより、監理技術者の兼任が認められています。

監理技術者補佐になることができるのは、次のいずれかに該当する者です。

  • 1級の技術検定の第1次検定に合格した「1級施工管理技士補」
  • 監理技術者の資格を有する者

なお、この場合の監理技術者を「特例監理技術者」といいます。

特例監理技術者が兼任できるのは、2現場までであり、兼任できる工事現場の範囲は、工事内容、工事規模及び施工体制等を考慮し、主要な会議への参加、工事現場の巡回、主要な工程の立ち会いなど、元請としての職務が適正に遂行できる範囲とされています。

主任技術者・監理技術者共通の要件

次の要件をいずれも満たす場合には、全体の工事を同一の主任技術者または監理技術者が掌握し、技術上の管理を行うことが合理的であると考えられるため、すべての注文者から同一工事として取り扱うことについて書面による承諾を得ることで、兼任することができます。

  • 契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であること
  • それぞれの工事の対象が同一の建築物または連続する工作物であること

この場合、すべての工事を下請として請け負う場合を除き、これら複数工事に係る下請金額の合計が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる場合は特定建設業の許可が必要であり、工事現場には監理技術者を設置しなければなりません。

また、これら複数工事に係る請負代金の額の合計が4,000千万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる場合、主任技術者または監理技術者はこれらの工事現場に専任の者でなければなりません。